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ジャンプ型小説・ブログ集

週刊少年ジャンプみたく3人の著者が小説やブログを更新していきます。

ロストテクノロジーは誰のためにあるの 〜東都動乱篇〜 第2章 誰がために東都はある Part4

☆再び公安現る……彼らと学連警備団「騒音」の師崎はどうでる!?

 

「何の用ですか、警察さん?」

 師崎の不信感丸出しの問いかけに、四十がらみの男、前島辰典はあっけらかんと答えた。

「もちろん、観光だ!」

「ばっかばかしい。そんな嘘、だーれが信じますかね?」

 師崎は不愉快そうに鼻を鳴らして、泰然自若と腕組みをしている前島をスルーする。

「うん、嘘だね」

 前島の部下、蒲村姫菜は煙草の煙を吐きながら、さらりと答えた。前島は蒲村を呆然と見つめる。

「ちょっ、ひめ、なんですぐばらしちゃうの! もうちょっとこうなんか、緊迫した駆け引きみたいなさぁ……」

 すると、蒲村は煙草の火のついた部分を前島の頬にぐりぐりと押し付けながら、

「うっとうしんだよ、このダメ親爺! 駆け引きとか苦手のノータリンのくせして無駄に会話パート引き伸ばそうとしやがってコラァ!」

 と、怒鳴った。

「あついあつい! ごめん、悪かった! オジサンが全部わるかった!」

「護、単刀直入に説明してやりなさい」

 蒲村は前島の左側に立っている男、一ノ瀬護に言った。一ノ瀬は鋭い眼光を師崎に向け、話しはじめた。

「あなたがた学連警備団がいちばんよくご存知と思いますが、最近の東都内における紅叉アカシアと月砂レゴリスの過激な行動は目に余るものがあります。研究所の所員を研究に専心させること、さらに、東都にも多く居住されている非戦闘員の方々を守ること。学連警備団がこれらの重要な任務を怠るのならば、我々、警察が東都の治安維持に介入せざるを得ない。今日は、その旨を通達するために参りました」

「言われなくても分かってますって」

 師崎は唇を尖らせて言い返す。

「こういうのは組織のアタマをちょんぎっちまえば話が早いんですがね、紅叉アカシアの虺竜文も、月砂レゴリスのクリス・レイシアも、まるで表に姿を現さないもんで困ってるだけなんですよ。おかげで、あそこでくたばってるザコ連中ばかりを相手に……」

 話の終わるより先に、師崎は地面に尻餅をついていた。彼は、一ノ瀬に拳骨で顔面を殴りつけられて転んだのだと気付くまでに、数秒かかった。

「あんた、急に何しやがる……」

 怒鳴りかけた師崎が目にした一ノ瀬の表情は、何とも形容しがたいものだった。憎悪、悲しみ、怒り、焦燥感。それらの悪感情がどろどろとない交ぜになって、一ノ瀬の目の中でとぐろを巻いていた。しかし、師崎が口をつぐんだ最大の理由は、一ノ瀬の目が自分を見つめながらも、全く何か別の誰かを責め立てているような、そんな測り知れなさを目の当たりにしたせいだった。

「護!」

 蒲村が一ノ瀬の腕を掴んだが、一ノ瀬はそれを無下に振りほどいて、師崎の襟首を引っつかんだ。最初の丁寧で機械的な口調とはかけ離れた、強い怒気をはらんだ言葉が、一ノ瀬の口からほとばしる。

「お前らが後手に回って研究所の連中を野放しにしとけば、また罪のない犠牲が出るだろ……。その時、てめーらは責任取れんのか!? あ!? 答えろよ!」

「護」

 前島が一ノ瀬に声をかけた。一ノ瀬はハッと我に返り、うなだれた。

「護、もうよそう。私情で熱くなり過ぎるな。お前が国家に忠誠を誓った信念を、自ら蔑ろにするようなマネをするな」

 前島の口調は穏やかだった。一ノ瀬は、「すみません」と詫び、師崎に手を貸して立たせた。前島は師崎の肩に手を置く。

「すまん、悪いことをしたな。まあ、なんだ、あいつは色々とあってな。今回のことは大目にみてやってくれ。俺たちは、もう行くから」

 師崎の目の前に、白い布のようなものがすっと差し出された。顔を上げると、差し出し主は蒲村だった。

「なんすか。これ」

「湿布」

 それを聞くと、師崎は持ち前のお調子者のノリを取り戻して、

「それ、お姉さんが貼ってくれるんですか!? 優しーなー」

「追加のビンタなら何発でも張ってやるわよ、このノータリン。てめーで貼れ」

「今どき湿布なんて、レトロですねぇ。ノータリンとか悪口までレトロですし。でも、そんなお姉さん、嫌いじゃないなぁ、なんつって」

 結局、蒲村は師崎に特大のビンタを食らわせて、前島たちのあとを追った。

「いてて」

 師崎はよれないように注意して湿布を頬に貼り付けながら、一ノ瀬の言葉を胸のうちで反芻した。

『「また」罪のない犠牲者が出る……』

 

☆何かしらの過去(ばくだん)を抱えている一ノ瀬。彼の過去には一体何が?

次週明らかになるかもしれないし明らかにならないかもしれない。