ジャンプ型小説・ブログ集

週刊少年ジャンプみたく3人の著者が小説やブログを更新していきます。

ロストテクノロジーは誰のためにあるの 〜東都動乱篇〜 第2章 誰がために東都はある Part3

☆爆発に巻き込まれた千賀峰と宇都宮の生死はいかに!?

 

 みるみるしおれていく植物を踏みつけながら、チョウ・ヤンが植物に呑みこまれかけた壇をベンチから助け起こした。もう数秒、爆発が遅れていたら、壇は猛毒の餌食となっていたかもしれない。

「さすがはアニキ。右手で爆発によって植物を食い止めつつ、秘かに左手で空気中に大量のガスを放出させつづけるなんてね」

「いやしかし、チビ助がいなかったら詰んでいたんじゃあないの。この技は、ガスを氷の密閉空間に封じ込め、圧力を高めた上で爆発させることによって殺傷能力を高めることが鍵……。お前の氷が役に立ったというわけだ」

 壇とチョウ・ヤンは、もうもうとたちこめる煙と灰燼の中を歩いて行く。

「まあこれであの植物女もおじゃんじゃあないの」

 煙がかすれて、次第に視界がはっきりとする。

 壇たちは驚愕した。

 そこには千賀峰の前に立ちはだかった宇都宮の姿があった。

「野郎、爆発の一瞬前に飛び込んで、千賀峰をかばったのか!」

 壇は、膝からくずおれていく宇都宮を見下ろした。服はぼろぼろに裂け、煤で黒ずんだ全身には無数の切り傷が刻まれていた。

「こいつ、爆発と同時に風を起こして爆発の威力を相殺したんだな。じゃなけりゃ、この程度のダメージですむはずがない」

 チョウ・ヤンは歯ぎしりをする。

 しかし、宇都宮は、身体の自由が利かないらしく、立ち上がろうとする意思を顔ににじませながらも、ゆっくりとその上半身は地面に倒れていった。

「どうします、アニキ」

「宇都宮はこのザマだ。千賀峰は爆発の餌食は免れたものの、気を失ってるようじゃあないの。おおかた、霊気力の使いすぎだ。チビ助、とどめを刺せ」

「あいよ」

 コンバットナイフGTFO-Tを頭上に構えたチョウ・ヤンは、ある異変に気がついた。身体が――動かない。

「アニキ……こいつは……一体?」

「ちょっと待て、どうな……」

 そう言い終えないうちに壇は、足もとを滑らせて地面に倒れた。

 ――足元から頭まで痺れて動けねぇ、喋ることすらままならねぇ!

脳筋バカどもには痺れ粉も効かないのかと焦ったよ」

 いつのまにか目を開けていた千賀峰が、腕に満身の力をこめて立ち上がった。

「今になってやっと、効いてきたみたいね」

 ――痺れ粉だと? いつの間にそんなもんを……まさか! 

 壇の脳裏に、数分前のワンシーンがまざまざとフラッシュバックした。

「あん……ときの!」

「そう。タンブル・ウィード。あの西部劇でおなじみの植物には品種改良を施して、痺れ粉を撒き散らす胞子を加えてあったの。そしたら、これがうまく馴染んで、使い物になったってわけ」

 千賀峰はおほんと咳払いを一つして、

「さっき言ったでしょ。あたしの植物をなめるなって」

 そして、宇都宮をちらりと見やって微笑んだ。

「あたしを守ったあんたの姿、なかなかかっこよかったよ……」

 つい出た自身の言葉に恥ずかしくなり千賀峰は顔を赤らめた。

 千賀峰は宇都宮のもとに駆けつけようとする。

 そのときだった。

「あーっ! あーあーあーあ! 一足遅かったか……。また派手にやってくれちゃってもー!」

 癇に障るほどの大音声が響き渡り、千賀峰を縮み上がらせた。

 千賀峰が振り返ると、学連警備団の第三地区隊長・師崎(もろざき)が地団太を踏んでこちらを睨みつけていた。

「この広場の修理代とかどーすんの! 怒られんの僕なんですけど! あーあ、シズちゃんにかっこ悪いところ見られたくないってーのに、もぉー!」

「そんなこと、あたしが知るか。こうなるのを止められなかったあんたが悪い」

 千賀峰は師崎の方をキッとにらんだ後、屈んで宇都宮の首筋に手を当て脈をはかる。

 ――とりあえず、命に別状はないみたいね。でも、早く脇腹を止血しないと……。

 師崎は食い下がって叫ぶ。

「だいたいね、東都が自治権を認められているのは、これまでの平穏無事の実績あってこそなんだよ? だから、こういう事態が度々起こると――」

「俺たちが東都の治安に介入せざるを得なくなる……かな?」

 突然、会話に割り込んできたのは、四十がらみの体格のいい男だった。両脇に男と女を一人ずつ従えている。

「あんたら誰?」

「俺たちか? 俺たちはな」そう言って四十代の男は懐から何かを取り出しそれを師崎に向かって突き出した。「こういうもんだ」

 師崎は男を見据えて素っ頓狂な声を上げた。男が差し出したのは警察手帳だった。

 

「警察が、どうして東都ここに……?」 

 

☆駆けつけた警察。東都の治安を守る学連警備団とは仲の悪さが伺えるが……?