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ジャンプ型小説・ブログ集

週刊少年ジャンプみたく3人の著者が小説やブログを更新していきます。

ロストテクノロジーは誰のためにあるの 〜東都動乱篇〜 プロローグ

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【プロローグ】

 得体の知れない薬品や機械類。床に散乱した、人間のものと思われる骨肉。そんな部屋の隅で、魔泉道ませんどうは高笑いして、独りつぶやいた。

「俺の作品が完成するのももうすぐか……」

「事はうまく進んでいるようですね。結構、結構」

 ドアの方の声に、魔泉道が振り返ると、ドアには長身の男がもたれて立っていた。魔泉道は表情を硬化させ、かみつくように言った。

「おや、今日はあいつと一緒じゃないんだな、MC。てっきりお前の主な仕事は、あいつが殺人ゲームに興じるのを止めることだと思っていたが」

「ハハッ、殺人ゲームですか。あなたのやっていることこそ、そうじゃないんですか?」

 MCと呼ばれた男はドアを閉め、魔泉道に近づきながら言い返した。すると、魔泉道は小ばかにしたような口調で、

「俺には実験という崇高な目的がある。だがあいつはどうだ? 自分の飽き足りない欲望を満たすがためだけに人を殺しているではないか」

「あの方ならこう反論なさるでしょうね。自分が行っているのは殺人じゃない。ゲームだ。死ぬのはプレイヤーの力不足だと」

「ふん。余計にたちが悪い」

「そうですか? 私は、あなたのおぞましい実験よりは共感できますけど。だってゲームは楽しいでしょう? 『人誰しもが持つ呪術的な確信、私だけは決して死ぬまいという確信』。百年近く昔の文豪、三島由紀夫の言葉です。私だけは決して死ぬまい、そう信じている人たちに、あの方は不意打ちを与えたいのでしょうね」

「せいぜいミイラ取りがミイラにならないよう気をつけることだ」

「それはそれで尊い結末です」

 MCは思い出したように付け足した。

「そういえば、あの方はこの間こんなこともおっしゃっていましたね。自分たちが今行っているこのゲームには、決定的に欠けているものが一つある。それは主人公ヒーローです。悪役に立ち向かう主人公が、今から起こる物語には登場しない、と」

「フン、それで? まさか主役のオーディションでも始めるつもりじゃないだろうな」

「そのまさかです。それも、我々を脅かすような主人公のね」