第7話 入学式とその夜

Story So far ●御宿深丸とかいう主人公が、青葉志成バーチャル学園への入学を目前に控えている。彼は中学卒業後から高校入学までの儚いモラトリアムを悠々自適に過ごしながら、自分の代わりに学園に「通う」アバターの作成に成功した。 ●花原葉月とかいうバ…

第5話 予感

藤枝道慈。深丸の担任のアバターは、平々凡々な三〇代前半男性そのものといった容姿だった。彼は瀬戸晴信に近づいた。 「瀬戸くん。急式先生が呼んでるよ。一緒に行こうか」 「その必要はない」 ピリッと張り詰めた声が聞こえたかと思うと、藤枝の背後から長…

第3話 アバター作り!

「青葉志成バーチャル学園 藤枝……道慈?」 「だれー? にいちゃんのしってるひと?」 勝手に触ろうとする幸太郎からひょい、と電子パッドを取り上げると、深丸は幸太郎を寝室に追いやった。 「知らない人だ、知らない人。俺くらいになるとよその秘密結社から…

第1話 御宿深丸とその周辺

コン。落としたペットボトルのフタが床のタイルをはねる音に、落とした藤枝道慈(ふじえだ・どうじ)自身がビクッと身体を震わせた。職場の同僚たちが帰ったあと、ずっとPC端末のデータファイルとにらめっこしていた。 藤枝は立ち上がると転がるフタを追いか…

小説『アバターくん、ちょっと学校行ってきて』新連載のお知らせ

こんにちは。ゴクツブシ米太郎です。 このたび、いがもっちとゴクツブシ米太郎の二人で新しい小説を書くことになりました。 最初は徹底的にアホなことやる小説でもいいなぁと思っていたのですが、 ちゃんと多少なりともテーマ性のある小説になりそうです。 …

『交通インフラに反抗する清純派な草枕たちの雑録』【2、広島の風景に関するエッセイ】(ゴクツブシ米太郎)

●高校生まで広島県で暮らしていたゴクツブシ米太郎が、身勝手ながら懐かしさに浸りながら、広島の風景を書き起こします。 いきなり愚痴をこぼすのも無粋なことだけれど、広島駅って、見た目があまりパッとしない。遠くから眺めると、これが中国地方一の都市…

『交通インフラに反抗する清純派な草枕たちの雑録』【1-3、旅行論PART3】(ゴクツブシ米太郎)

●前回は、中世・近代において、人びとが「旅」/「旅行」に自由の表現を見出してきた、というふうなことを書きました。今回はそれに引き続いて、じゃあその「旅」/「旅行」の自由って何? ということについて書きます。「旅行論」完結編です。 PART2の最…

『交通インフラに反抗する清純派な草枕たちの雑録』【1-2、旅行論PART2】(ゴクツブシ米太郎)

●「旅」、「旅行」という言葉の語源と、古代における「旅」のイメージを追った前回に引き続きまして、今回は中世・近代の「旅」のイメージを膨らませていきます。 中世に至ってようやく人は旅する自由を手に入れます。『旅の思想史』によると、中世ヨーロッ…

『交通インフラに反抗する清純派な草枕たちの雑録』【1-1、旅行論】(ゴクツブシ米太郎)

こんにちは。ゴクツブシ米太郎です。一時の悪ノリで左のようなよくわからないペンネームをつけてしまったけれど、どうせなら「観音寺」とか「榊原」のような憧れのかっこいい苗字をつければよかった。観音寺米太郎。そこはかとなく漂う小坊主臭が素敵。 【1…

『交通インフラに反抗する清純派な草枕たちの雑録』【0、はじめに】(ゴクツブシ米太郎)

【挨拶】こんにちは。ゴクツブシ米太郎です。この記事は、今後の連載に関するお知らせです。それ以上でもそれ以下でもなく、そういう意味ではホンマにジャスタウェイみたいな存在感を放つということがこの記事の特徴なのだといえるでしょう。 【お断り】突然…